不動産 購入前の心構え

不動産を購入する前に予算の設定はもちろん大事な事ですが、まずはオーストラリア不動産購入の「心構え」について述べたいと思います。

特に日本で一度でも不動産を購入した方々は、「経験がある」と思って臨まれると思いますが、エリアの選び方、書類の作成、銀行、手続き等々、何から何まで違います。

「お世話になっているxx銀行の△さん」,「お世話になっているOO不動産屋」など全くありません。全てがビジネスとして粛々と進みます。ビクトリア州外でも同じと思いますが、例えばAuctionで売却が決定した場合、買主が「署名を書類に完了するまで」売主と買主は同じ家の中に滞在していても、絶対に顔を合わせません。日本で家を購入した際、不動産屋で売主、買主同席で重要事項の説明を聞いて驚きました。法律的にAuctionのBid は絶対的なものですがAuctionerとしては両者の署名までが問題無く進むように非常に気を付けています。私が家を売った際もAgentには「サインまで顔を見せるな、笑顔を見せるな」と言われて緊張した覚えがあります。署名後は両者握手してにこやかにしていますが。。。。

他人の意見は参考程度に聞き、最新情報の入手は自分で行う

ここで言う他人とは「1度か2度、家を購入したHome Owner」です。友達、同僚、親戚が良かれと思って、いろいろと不動産購入のアドバイスをしてくれると思いますが、中には「既に終わった」「既に変更した」「状況が全く変わった」情報も含まれている可能性があり、特に間違った情報で予算を立てたりすると最悪の場合、家の購入ができなくなる可能性もあります。以下はVIC州が実施していたHomeBuilder Grantですが2021年4月で受け付けは完了しました。<以下は参考リンク>

HomeBuilder Grant guidelines | State Revenue Office
HomeBuilder supporting documentation deadline extension  The deadline to submit supporting documentation for all existing HomeBuilder Grant applications has bee...

ちょっと違った例ですが、私の友達が転職して学校の先生になった際に先輩職員から「職員が良く使っているxxスーパーが良いわよ。Performanceも良いし、事務コストも安い」と勧められたそうですが、実際調べるとxxスーパーの成績は中ぐらいでした。多分先輩職員は何年か前のイメージをずっと持ち続けていたかもしれません。

「他人の意見は参考程度に聞き、最新情報の入手は自分で行う」事をお勧めします。

皆様、ご存じのようにオーストラリアはフットワークの軽い国政です。今までのやり方をどんどん変えていき、時には末端の窓口の人がルール変更を知らなかったりすることも多々あります(それでいて窓口の人が自信満々の場合もあり、困りもんです)。 以下の参考例は非常にオーストラリアらしい変更です。

“1985年に税法上でNegative Gearing (不動産に掛かった費用を一般の収入と合算して税金の支払いを減らす方法)を取りやめたところ、不動産投資家による投資物件の購入が激減し、それに依り賃貸の価格上昇、賃貸物件の需要ひっ迫が発生し、わずか2年後の1987年に急遽元の法案に戻したそうです。”

When negative gearing was removed by then Treasurer Paul Keating in 1985, it was quietly brought back in the 1987 budget,” said Howard.

<以下は参考リンク>

https://www.therealestateconversation.com.au/news/2016/05/20/look-1985-negative-gearing-impact-says-john-howard/1463741788

現在のFirst Home Buyer Scheme(最初に家を買う人)の貰えるお金の金額、条件はコロコロ変わりますし、First home super saver scheme (FHSS)もいつ条件が変わるか分かりません。政権が変わると当たり前のようにルールも頻繁に変わります。諸先輩の助言は有難いと思いますが、ご自分で確認する事を忘れずに。<以下は参考リンク>

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利息の動き

毎月第二火曜RBA(Reserve Bank of Australia = 日銀のようなもの) の会合が行われ、Cash Rate(公定歩合)をどのようにするか判断されます。午後2時頃のニュース(The Age など)を見ればCash Rateがどう変わったか分かります。またはグーグル等で、[Cash rate RBA]とタイプすればいろいろな情報ソースでRBAが今月のCash Rateをどう判断したか分かり、そのCash Rateによって住宅ローンの変動金利が近日中に変わります。住宅ローンの変動金利は毎月見直されるものとお考え下さい。上記は2001年~2019年の豪州のRBA Cash Rate (公定歩合)です。いつこのような7%の時代に戻るか分かりません。油断大敵です。オーストラリアのみならずEU、USAのレート変動も絶えず注意を払い、必要とあれば固定金利に変える決断も考慮すべきと考えます。今の所 日本の公定歩合との相関はあまりないと考えます。

リスク管理

上記の金利変動を踏まえ、エクセル等で今後の利息の変動をシュミレーションし、何%まで上がれば家計に影響があるかを知っておくことは必要と思います。不動産投資をする方もレバレッジを掛けるとCash Flowが重要となるので、是非おおざっぱでも良いので常にCash Flow Simulationの 実施をお勧めします。自信のない方はFinancial Plannerにお願いしてもいいかもしれません。

例えば以下のようなシンプルなエクセル表を作成し、自由に「銀行利子」を変更してシュミレーションできるようにすれば、ローン利子支出による貯金切れがいつ発生するかも見えます。以下のテーブルだと2011年6月に貯金が切れるという状態を表しています。家の売却は販売におよそ1~2か月、入金まで2~3か月、だいたい半年前後掛かりますのでこの2011年2月の時点で6月に貯金が切れるのは「アクションが遅い」という事になります。しかし投資物件ではなくマイホームの場合、売却は「最後の方法」です。ローンの借り換え、銀行と支払いの相談、賃貸住宅としての貸し出し等、いろいろと売却回避の方法はあると思われます。

今は利息が非常に低い状況ですが、今後どうなるかは誰にも予測はつきません。だからこそ「利息のシュミレーション」は家の購入前、そして購入後でも肝要です。日本の底にへばり付いたような銀行ローン利息はこの国では無いと思っていた方が良いと思います。このようなシュミレーションでは家計簿のような細かい数字の入力は不要です。要は大きくお金の入りと出を見ることが大切です。

大事な用語

家を購入する前に基本的な以下の用語の意味は知っておくべきと考えます。

  • Fixed (rate) period
  • Fix / Variable rate
  • Gross / Net Salary or wages
  • IO(Interest Only) / PI(Principal and Interest)
  • Lending Criteria
  • LMI(Lenders Mortgage Insurance)
  • LVR (Loan-to-Value Ratio)
  • Offset account
  • Package (Wealthy package等)- RateのDiscount等。
  • Pre-approval
  • ROI (Return On Investment)

次章に続きます。

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