心構え、政府の住宅補助の確認が完了したら次は「不動産購入予算の決定」です。これを決めない事には何も始まりません。まずはFinancial Broker、もしくは直接銀行に行って、幾らくらい借りれるかを相談しましょう。
Financial Brokerと直接銀行相談の違い
少し銀行のサイトを観覧すればわかると思いますが、一口に「住宅ローン」と言っても、ひとつの銀行で多数の種類があります。また各銀行によって「Lending Criteria : 与信審査基準」が違うので、同じ給与条件でもA銀行からは借りれるがB銀行からは借りれないという事もあります。その為、各銀行と個人で個別に検討・交渉すると非常に時間が掛かりますが、Financial Brokerは多数の銀行と提携しているので無料で貴方にあった最適な銀行の商品を紹介してくれます。Conflict of Interest(利益相反:貴方の利益ではなく自分(Financial Broker)の利益になる事)にならない事をFinancial BrokerはClientに開示する義務が法律によって定まっています。(例えばA銀行から幾らのCommission を貰うなどの情報開示)何か疑問があればその都度Financial Brokerと確認してください。不動産購入の協力な助っ人になります。
Lending Criteriaに余裕がある、または特定の銀行と取引したい場合は、直接個別の銀行と交渉しても良いと思います。個別交渉の場合、Interest rateのdiscount交渉も可能になる場合があります。
Financial Broker、もしくは銀行との直接交渉どちらににしても、以下の言葉は必ず交渉の前に「意味を確認・理解する」事をお勧めします。例えば同じ額を借りても20年ローンの支払いは30年ローンの支払いより高い、というような意味の理解も大事です。交渉の前に「自分の要求をある程度固めておく」という事も重要で、すべて「お任せ」だと不利な条件のローン契約になる可能性もあります。
- 「Loan Termはどうしますか?」「20年?25年? あなた次第ですよ」
- 「FixにしますかVariable にしますか? あなた次第ですよ」
- 「Offset account 作成しますか?」
- 「Package必要ですか?」
- 「IOにしますか? PIにしますか?」
こういった質問に即答できる準備をしておいてください。
Lending Criteria (与信審査)
与信審査の方法は各銀行によって違いますが、一般的に以下の方法で審査されていましたが、APRAからの指導もあり、今後も与信審査基準・方法の見直しが続くものと考えます。
① ローン返済金額の逆算で算出する貸し出し金額計算
例えば年収$50,000とした場合、年収の3割 = $15,000を年間ローン返済とし、そこから逆算してローン金額を決める方法。この場合(1)年収の割合 (2)銀行内でのシミュレーションに適用する利息 (例えば市場では2%の貸し出しでもシミュレーションは4.5%で計算等)は各銀行によって差異があり、そのため貸し出し金額も変わります。
② 支出からみた貸し出し金額
年収を基準に全ての支出を算出し、年間の収支残高から貸し出しの成否を検討する。例えばFinancial Broker・銀行から家計支出、ガス代、電気代、食費など細かく聞かれるのはこのためです。この計算で「赤字:年間収支マイナス」となれば貸し出し不可、もしくは貸し出し金額減額となります。また子供が多い=支出も多いというモデルになります。
③ 貸し出しRatio
これは最近銀行と話しをして分かった事なのですが、従来の方法の上記 ① ② とともにRatio評価もCross checkで使用している模様です。例えば6:1という基準があれば、貸し出し金額が$600,000ならば年収は最低$100,000という具合です。以前の与信審査ではこのRatio方法は聞いたことなかったのですが、最近ある銀行の審査の際にこの方法を聞きました。実際どこの銀行がどういったレシオを適用しているかは分かりません。
どこの銀行にするか?
オーストラリアは自由競争が上手く作用しており、銀行に預金が無くてもローンはどこからでも借りられ、不動産の購入後でも与信審査をパスすればいつでも自由に簡単に銀行の借り換えが可能です(既存のローン条件に依る)。一般的に住宅ローンは4大銀行からの借り入れが全体の75%を占め、すなわち4大銀行から借りる事が一般的=「良いローン商品」と考えられます。
4大銀行とは?
- Commonwealth Bank (CBA)
- National Australia Bank (NAB)
- Australia New Zealand Bank (ANZ)
- Westpac Bank (WBC)
4大銀行からの与信審査が落ちても、規模の小さな銀行からの借り入れが可能な場合があります。ほとんどがあまり支店の無い貸し出し専用の銀行なので、ローンの交渉はFinancial Brokerを通して行う事になります。一般的に与信審査が緩い=利息が高い事は承知しておいた方が良いと思います。4大銀行以外での借り入れの場合、以下の事に注意してください。
- ローンの利息が4大銀行より高い場合がある。
- RBAのCash Rateが下がった時のローンへの適用が遅く、Cash rateが上がった時のローンへの適用が早い場合がある。(借りる側に不利)
- Late paymentに対してのPenaltyが高い場合がある。
- Early paymentに対してのpanaltyなど、いろいろな制約・条件がある場合がある。
- Account keeping feeなど利息以外にいろいろなFeeを取られる可能性がある。
- その他。Condition, Penalty, Other feeなど事前に検討してください。
< 以下参考サイト >
銀行の与信審査が承認されたらPre-Approval letterを発行してもらう。
Pre-Approval letterは「与信審査をした際の承認の確証」でありますが、後日不動産購入を決定した際に再度銀行の与信審査が行われ、その時の状況によっては「銀行の与信審査に落ちる可能性」もあり、絶対的なものではありません。しかし、Pre-Approval letterがあれば不動産売買の交渉、Contractもスムーズに運ぶので購入前の与信審査でパスしたらPre-Approval letterの発行を銀行に要求した方が良いでしょう。
まずは予算ありき
家を探すにも予算が分からなければエリアも絞れません。家を探す前に予算の決定を行い、家の目標価格を設定しましょう。可能であるならば「対象とする不動産価格に対して若干余裕のある金額の承認」がベストです。家を探し出すと「あと$30,000あれば」という風に「少し足りない」ケースも多々発生します。勿論、「Stamp Duty」などその他費用の計上も忘れないようにしてください。Stamp Duty計算はあらゆるサイトであります。参考にNABのサイトを以下に記載します。銀行によってはStampu Dutyをローンの一部に組み込んでくれる場合もあります。
Interest Rate のdiscountが受けられるPackageの検討も忘れずに。
年間$400程払いますがInterest rate discount, Credit card fee waiverなど特典は多数あり、元は十分取れると思います。各銀行で名称が違いますのでご確認ください。(Wealth Package等)
どうしても頭金20%が貯めれない場合はLMIがあります。
不動産購入のテクニックのひとつで、頭金20%が貯められない場合(LVRが80%以上)に、一度限りのLMI(保険)の支払いを行い、銀行から80%以上借り入れて不動産を購入する方法です。担保に対してローン金額が多いというリスクがあります。LMIの使用は自己判断で検討してください。銀行によってはLMIをローンと一緒に組み込んでくれる(Out of Pocketが不要)場合もあります。
どうしても銀行から借りられない場合は4か月後に仕切りなおす
ご存じでしょうか? オーストラリアでは貴方のCredit Score / Ratingが「無料」で見られ、銀行も与信審査に同じ情報を使っています。貴方が銀行に借り入れを「申請」した履歴が3か月残ります。よって仕切りなおす場合は4か月以降が良いと思います。
銀行の与信審査基準は頻繁に変わっており、もしかしたら4か月後は借り入れOKになる可能性もあります。一度審査に落ちてもあきらめずチャレンジしてください。
< 以下参考サイト >
次章に続きます。