不動産 購入前の心構え (投資物件の場合)

以下は私の過去の経験からの私見、そしてVIC州での経験です。投資用不動産の購入前の心構えを参考として記載します。

自宅購入と投資物件購入は違う。感情で購入しないようにしましょう。

今までいろいろ見聞きしている中で「自宅購入」「投資物件」を同軸に考えている方々が多くいました。投資方法に「これがベスト」というのはありませんが、これから不動産を購入される方は「自宅」「投資物件」求める要素が全く違う事を認識された方が良いと思います。

  • 自宅:購入価格、周辺環境、内装を重視しライフスタイルに合わせた利便性、子供の教育を考慮。
  • 投資物件:購入価格、Capital Growth, Tax Saving, 家賃、Cash Flowを主に考慮。

これはどういう事かというと、自宅ならば「いくらCapital Growthが良くても環境が良くないところには住みたくない」となりますが、投資物件ならばアリという事です。

例えば自宅購入と投資物件購入を同じように考えてしまうと以下のような事が起こりえます。

  • 「10~20年後の老後のため」の家を今購入する ➡ 老後になる頃には既に老朽化していて補修費用が必要の可能性あり。老後の為の建物を「今買う必要はあるか」を検討すべきと思われる。
  • 「見晴らしが良い」 ➡通常高層アパートは一階上がる毎に購入価格が$10,000~20,000程高いのですが「家賃収入」は「あまり高さに比例しない」事を考慮してください。
  • 「台所の色が気にいらない」➡投資物件ならばあまり影響はない。
  • 仮に「老後のために」$700,000の見晴らしのいい素敵なQLDのサーファーズのアパートを購入したとします。その周辺のCapital Growthが年2%。 同時期にVictoria州のDandenongの「Townhouse」を$700,000で購入。その辺りのCapital Growthが年8%とします。
  • 10年後、20年後 どちらの家の価値が高いですか? どちらが高く売れますか?
  • 「老後のために買った」アパートの20年後の状態はどうでしょうか?20年後の老後の住処は今 購入する必要がありますか? 

とにかく投資物件はあくまでも「他人が住む家を買うのであって自分では住まない可能性がある」事を忘れずに、調査、購入を進めた方が良いと思います。ただし良い学校の区域内に購入して置いて、必要となるまで人に貸すというパターンはあるかもしれません。しかしこれもVIC州のある有名公立学校の校区だと$200,000ほど周辺と比べ家の値段が高いので、それだったらPrivate Schoolに入れた方がいいのでは? という意見もあります。

感情で購入せず数値で購入する事が大事と思います。

自分の投資スタイルを考える

不動産の投資スタイルには大きく分けると以下に大別できると思います。

  1. Capital Growth タイプ
  2. Cash Flow タイプ
  3. 節税タイプ

1. Capital Growth タイプ

不動産価値の上昇を主にした不動産投資のタイプ。不動産のデータについては後述しますが現在までの所オーストラリアは不動産価値の上昇が続いています。Suburb(街) レベルで見ると、売買価格の上昇のある地域、あまり無い地域、価格が下落している地域等があり、このCapital Growth タイプだと「 売買価格の上昇のある地域 」を購入前に調査する事になると思います。勿論エリアにもよりますが不動産のデータによると一般的にUnit/ApartmentよりHouseの方が、Capital Growth が高いとなっており、相対的に購入価格も高くなると思います。不動産動向データは後程記載します。

具体的な数値を示すため、我が家の購入履歴を参考とします。

我が家は1990年にVIC州 Hampton Parkに初めての家を$100,000で購入。そして1994年に$88,000で売却し(値段が落ちた時代)、売却後すぐに$148,000でVIC州 Mount Waverleyの家を購入。1994年の時点での2軒の価格差は$60,000でした。

さて2021年現在、この$60,000の差は約$800,000の差になっています。

  • Hampton Park 周辺の同規模の家 ➡ $ 500,000くらい
  • Mt Waverley 周辺の同規模の家 ➡ $ 1,300,000くらい

このように選ぶSuburbで「次の一手」(次に家を購入する予算)も変わってきます。

2. Cash Flow タイプ

不動産価値の上昇よりは安定した収入を主にした不動産投資のタイプ。Suburb(郊外)はCity(街中心部)よりは不動産価格が低いため、どちらかと言えばROI(投資した費用から、どれくらいの利益・効果が得られたのかを表す指標) が良い物件があり、 一般的にUnit/ApartmentよりHouseの方が、Capital Flow が良い物件がありますが、相対的に購入価格も高くなると思います。

日本はどちらかと言えばこのCash Flow タイプの投資スタイルで、xx年でローンを全額返済し、返済後は「Cash Flowが劇的に向上」のパターンですが、オーストラリアはLoanの利子が高い、購入金額も高いので日本モデルはあまりないものと考えた方が良いかもしれません。

このCash Flowタイプの方で「サービスアパートメント」または大学近くの「学生専用アパートメント」を購入する方もいらっしゃいます。補償された定額の収入および高い減価償却率が一般住宅・アパートと比べて良いのですが、やはりDisadvantageもあります。ここではDisadvantage についての詳細は述べませんが、購入を検討されている方は事前調査をしっかり行った方が良いと思います。特に「タイトル」「予想されるCapital Growth」については気を付けてください。以下に参考記事をリンクします。

留学生の急激な減少に伴い大学近辺の学生用アパート価格、家賃が下落
コロナに伴う留学生の急激な減少に伴い学生用アパート価格、家賃が下落しております。コロナ禍においても通常の一般的なアパートメントは価格上昇を続けていますが、対して学生専用アパートは入居者減少に伴い、オーナーの不動産売却により価格が下落してい...

3. 節税タイプ

Negative Gearing (不動産に掛かった費用を一般の収入と合算して税金の支払いを減らす方法)を使用した投資方法で主にDepreciation(減価償却)で税金の払い戻しが多い「ほぼ新築」「新築」・「Off Plan] (VIC州では建物完成前の購入は建物費用を含まないのでStamp dutyが安くなる)の物件が主となります。主に高額の税金を払っている高収入のタイプの方が好んでいる戦略です。しかし、以下に私見ですが気を付けなければいけない点を記します。

  • 新築価格は相場より高い場合があり、Stamp Duty をSaveしたつもりが結局総額で高い物件を買ってしまう可能性がある。
  • 減価償却: Deprecition(Capital: Div 43とDepreciation: Div40に分類され、CGTの計算で参入されるのはDIv 43)を使用して減税した物件を将来売却した場合、原価償却分に対してCGT(Capital Gain Tax)が増加します。そのため減価償却で得た減税が相殺される場合があります。
  • 新築は施工業者の技能不足による初期不具合(水漏れ、クラック、機器接続不具合、機器不具合)が発生する可能性があります。
  • VIC州の場合、アパートメント、または3軒以上のユニットのBody Corporation Feeは大家負担であり、特にHigh Rise Apartmentに設置されているジム、プール、エレベーターのBody Corp feeは年々徐々に増加していき、年間$10,000近くの費用が発生するApartmentもあります。Body Corporate FeeはTax Deductibleではありますが年に$10,000をBody Corp Feeに払うのであれば、Unit / Houseを購入できるLoan額に等しくなる場合があります。

Advantage / Disadvantageを総合的に判断し、自分の投資スタイルに合った不動産をお選びください。

無料不動産セミナーでの修行の勧め (不動産投資 初心者の場合)

これは私見ですが、もし今まで不動産セミナーに行かれていない方は「無料」の不動産セミナーに参加され、「不動産投資の考え方を無料で受講」されるのも一つの方法と思います。グーグル等で「Free Property seminer] と検索すればいくらでもあります。セミナーは初心者に分かり易く説明され、私もここで大まかな知識を吸収しました。何度か通ううちにセミナーがどのようなリンクで開講されているか分かります。

  • 新築のデベロッパーとリンクしているセミナー(安くで購入できると言われます)
  • 大手Real Estate Agent 主催 
  • 次の超高級セミナーへの誘導(海外セミナー、1万ドル以上のセミナーなど)

人それぞれ好みが違いますので、無料セミナーを機会として「安いと思って新築物件を購入する」「超高級セミナーに参加される」方もいらっしゃるかもしれませんが、「冷めた感情を持って対応することが肝心です。私見ですが「誘導する」タイプのセミナーは以下の特徴がありました。

  • 水以外の物(食事など)を出すセミナーは「次」の高級セミナーへの誘導が多いです。
  • 「小人数」のセミナーは「断りづらい」雰囲気が出ます。よって参加する場合は大きな会場のセミナーが良いと思います。
  • 販売するキットを「今日だけ80~90%引き!」等は、購入後ほぼ後で後悔すると思います。
  • 高級セミナー誘導系は最後に「大音響の音楽」「会場が薄暗くなる」事で高額なキットを購入誘導する事が多いです。

これらのキャッチから逃れるのには「終了前に離席してサッサと帰る」です。まるでトイレに行くような雰囲気で会場から出て、家で改めて考えて、必要ならば主催者に後で連絡しても良いのではないでしょうか?「まずは一旦落ち着いて考えましょう」

ただセミナーも悪いことばかりで無く、これらの無料セミナーで私は

  • 他人のお金を使って財産を増やす Other People’s Money の考え方
  • Re-finance (借り換え) の考え方
  • Re-valuation (再評価) の考え方
  • Lending Criteria (与信審査)の考え方
  • Renovation (改築)の重要性
  • Title (名義) の重要性
  • エリアの重要性 (Location-Location-Location)

を習いました。

投資家の人々達(不動産投資の場合)

いろいろな不動産投資家がいます。上記では主に3つのタイプを記載していますが、実際はもっと細かく分かれ、皆さん自分に合うスタイルで投資を行っています。以下に例を記します。

  • 安めのアパートをたくさん購入し、空き室リスクを下げ、かついろいろな地域を購入する事でGrowthの偏りを避ける方法。例えば3軒のうち1軒が空き家となってもインパクトは少ない。逆に高価な家を一軒のみ持っている場合の空き家だと無収入となる。
  • 投資物件をすべて「パーセンテージ」のみで判断し、少しでもROI (投資した費用から、どれくらいの利益・効果が得られたのかを表す指標) の高い地域を探す。自分の住んでいる地域に限らず全国を視野に入れて考える。
  • 良い場所の良い家の高い家賃が取れる家の一本買い。見方によってはリスクは高いですが、個人の好みもあります。
  • 古い家を買ってリノベーションして保持もしくは販売する。
  • 古い2Brのアパートを購入し3Brに自分で改築。昔のアパートは今の建物と違って全体的に広いので自分で住みながら3Brに改造し、完了したら引っ越す。自宅なので売却時にCGT(Capital Gain Tax)が掛からない。大きさが同じでも3Brにする事で資産価値が上がる。
  • メイン道路に面した家を「Medical Centre向けに改造(床のコーティングなど)」して高い家賃収入を得る。例えば歯医者さんの建物など。

など、今まで見聞きした不動産投資家の方々の戦略を書いてみました。勿論これ以外にも多数あると思います。自分に合う戦略が見つかればいいですね。

以前不動産屋と話しをした際、私が遠くから来ている事について驚いていました。聞けばほとんどの不動産投資家は「自分が住んでいる近所の家を購入する」人が多いそうです。近所にあれば「なんとなく」安心というか、「雰囲気がわかる」感じがしますが、価格、Capital Growth, Cash flowを考えれば「近所で購入する必要はない。言い換えればデータで判断して購入していない恐れがある」と言えます。投資物件の購入で「なんとなく」エリアを決める事がないようにしましょう。

出口戦略 (Worst Scenario)(自宅・不動産投資の場合)

よくニュースなどで「自分の家を泣く泣く売っているオーナー」の映像を見ますが、ローンが払えきれなくなりそうだったら、まず「借りている銀行になるべく早く相談」する事です。状況にもよりますが、サポートしてくれると思います。そしてどうしても自分の収入だけで払えきれないとなれば次は「家を貸す」事もひとつのオプションとして考えてください。たとえ自分たちが借家に移っても、家を持っておけば「資産」となり、事態が好転すれば、また「家に戻る」「もしくは貸したまま新しい家を買う」可能性も出てきます。「売る」のは最後の選択かもしれません。 また「自宅」を購入した後、いろいろ気にいらなければ「また売ればいい」もしくは「他人に貸す」事も可能です。何度も言いますがオーストラリアでは「家は一生に一度の買い物ではない」という事です。

購入の一軒めは自分の理想とする家の5割程度、2軒め購入でもうちょい上げて、というくらいでちょうど良しと思ったほうがいいかもしれません。一生に一回の買い物じゃないので、いくらでもやり直しは可能です。

ちなみに私の現在の家は女房が10分、私は20分の内覧で決めました。引っ越した後で雨漏りがあることが判明しましたが、細かい事気にしていたら何も進みません。(Structure inspectionできればした方が良いです) 家は人間と同じく縁とタイミングです。

次章に続きます。

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