Location Location Location
メルボルンに30年以上住んでおり、不動産投資は1997年から開始しました。不動産セミナー他、いろいろな所で言われているかと思いますが、不動産の購入の一番の肝は [Location Location Location」と言われています。これはどういう意味かというと「とにかく良い場所の不動産を購入する」という事です。
では「良い場所」とはどういう事でしょうか?
以前の私であれば即答で「出来るだけCityの近く」という風に考えておりましたが、ここに来てコロナの影響で、業種によっては「リモートで働ける」という事が社会的に認知されたので、Cityの近くから郊外に引っ越す人が増加していると聞きます。それでは従来の [Location Location Location」はもう意味をなくしたかと言えば私は「否」と考えます。もし予算的に可能であるならば、やはり「出来る限りCityの近くに住む」のが長いスパンで見ると「手堅い」と考えます。経験則ですが、やはりCityの近くの住宅価格は長い目で見ると手堅く上昇しています。
不動産の購入に「万人にベストな家」はありません。あらゆる要素を考慮し、各個人が「自分にとって最適」と思った場所を購入すべきと思います。然しながら、特に初めて家を購入する方 FHO (First Home Owner) / FHB (First Home Buyer)は家の内部の写真(素敵な写真が多いです)ばかりに気を取られ、大事な「周辺環境」をおろそかにする傾向があります。
購入時の検討要素の比率は家3割、周辺環境7割(私の経験則)
素敵なモデルルームの写真、きれいなOpen For Inspectionのカタログを見て心躍るのは十分理解できますが、実は大事なのは「周辺環境」だと私は思っています。周辺環境を十分検討し、素敵な写真に惑わされず、冷静な頭で是非「周辺環境」を確認・検討してください。私見ですが、「家は後で改築、増築できるが周辺環境の変更は自力では無理」という事を考慮すべきと考えます。不動産購入を検討する際は、今一度冷静になって、以下の項目をご確認ください。
- 駅・トラムの近くの必要性。通勤もそうですが、子供がティーンエージャーになると、子供同士で行動します。駅まで遠い場合、夜中にたたき起こされ「駅に迎えに来てくれ」という事も多々あると思います。子供が高校くらいになると、親の車の送り迎えから子供自身で行動するようになり、俗にいう「盛り場」で子供同士で遊びます。駅・トラムの近くは購入費用も高いですが売却価格も通常高いです。
- 学校の近くの必要性。「高校は近いが小学校は遠い」という事は多々あります。特に小学校の登下校の送り迎えは結構な時間、エネルギーが必要となります。学校が近い=次に家が売れ易い要素のひとつです。
- 買い物・アメニティの利便性。新興住宅地などでは「街にスーパーが一軒のみ」という場所もあります。アメニティの利便性で一番分かり易いのが、Cafeが近所に何軒あるか、もしくは最寄りのCafeまで何Kmかが一つの目安になると思います。買い物・生活に便利=次に家が売れ易い要素のひとつです。
- 学校の質。一般的に「良い環境の場所」には「良い学校」が多数あります。逆に言えば「良い学校」が有る所は「良い環境の場所」の可能性が高いです。良い学校の校区内は次に家が売れ易い要素のひとつです。例えば有名なプライベートの学校の近くに家があるとすると、自分の子供は行かなくても「有名学校の近く」という事で家が売れ易い要素のひとつになります。
- 近所に小さい子が多数いる。新興住宅地は若いカップルが多いので、小さい子供が多数いる可能性があります。遊び友達がたくさんいます。
- 公園、遊歩道、散歩道が近くにあるか。長く住むと分かりますが、近所にこれらのアメニティーがあるのは非常にありがたいです。
- 病院・Specialist が近い。若いころはあまり必要でなかった病院も、年齢が高くなるにつれて使用する機会が高まります。
- 車が無くても日常生活が送れるか? 同じく年齢が高くなると、車を運転しなくても日常生活(買い物等)が送れる事が必要となります。
- 掛かるガソリン代も考慮する。今まで月の通勤に使うガソリン代が$100位だったのが、郊外の新築に引っ越したために$500位になるという事はよく聞きます。これだけのガソリン代の差額あれば、もう少し高い、Cityに近い家が買える可能性もあります。また当然ですが車の消耗も早くなります。ただしコロナ後の社会はどうなるのかは予測が難しく、通勤があるかどうかも微妙な所ですが。。。
- 人種が偏ったサバーブかどうか? 人種が偏る事は特に問題ではありませんが、引っ越してから「知らなかった」という事がないように事前の調査は必要です。一般的にモスクがある地域はイスラム教の方々が多い地域の可能性が高いです。 近くの商店街の看板からどのような人種が多いかもある程度は予測できます。以下のサイトはABS (Australian Bureau of Statistics)のデータを元にした情報サイトです。読み込むといろいろと考えさせられる内容があります。 ココ ==>.idcommunity
- アジアングローサリーが近所にあるか? 最近Woolworths, Colesでも若干日本食品は増えてきましたが、日本人の場合、アジアングローサリーが近所にあるのは重宝すると思います。
- 家を買いかえるときに高く売れそうな場所なのか? 上記1~11でお分かりかと思いますが、夫婦2人の生活、そして子供が生まれ、小学校、ハイスクールに通いだすと、家族のライフスタイル、友人関係も随分変わります。家族のライフスタイルの変更によって、求める家の周辺環境も変わっていきます。「その家には何年住むのか?」。家を購入する前に次の家の事を考えるのは非常に難しい事ですが、逆に言えば「いつか引っ越す」と考えれば、ある程度の妥協点が見えてきます。「家は一生に一回の買い物」と考えず、柔軟にライフスタイルに合わせて家の売却・購入・引っ越しするのもオーストラリアでのひとつの生活方法です。勿論、お気に入りの場所を見つけて一生住み続けるのもアリです。
- 家の価格上昇はある程度はサバーブ(街)によって決まります。あくまでも平均的な話になりますがCapital Growthはサバーブに依って変わり、短期的には分かりにくいですが、5年、10年経つとサバーブのCapital Growthの差が非常に現れます。私の体験談です。(<==クリック)
- Cityまでの距離が同じでも価格帯が全く違う。VIC州の話で申し訳ありませんが、メルボルンCityを中心に考えると、Cityまで同じ距離にも関わらず、東西南北それぞれのサバーブの価格帯が全く違います。比較して価格が安いのにはそれなりの理由があるとお考え下さい。(エリアが悪いという意味ではありません) 逆に、安い地域を購入すれば後でCapital Growth が期待できるメリットもあります。
- メイン道路に面した家はどうなのか? 一般的に”若干”安い傾向があります。街灯が明るくて安全というメリットはあります。また家の前がバス停という場合は便利ですが、いつも不特定多数の人が家の前にいるというのも少し考慮すべきと思います。また騒音、訪問者の駐車場等を考慮すると、やはり若干安いのは否めないと考えます。
- 高圧電線の近く。いろいろと諸説ありますが、やはり高圧電線の近くは周辺と比べ安いです。また雨などが降るとハム音(ブーンという音)が聞こえるという話もあり、身体的な影響を考慮すると避けた方が良いと思われます。
- T字路のドン突き、または道路より若干下がった所に建っている家。中国系の人にとってはこの条件は風水的に良くないという事で避ける傾向はありますが、売買価格にはあまり影響はないかと思われます。しかしT字路のドン突きは夜間に車のヘッドライトが直接家に当たる(部屋が急に明るくなる)、また道路より下がった家は歩行者から家の中が覗かれる可能性がありますが、家の裏側が見晴らしが良い場合も多々あります。
- 家の前の道にスピードハンプ(凸)はないか? スピードハンプがあると車やトラックの「ガッタン」という音が案外ウルサイとの事です。(@Hatsu_Ozさん提供情報)
- トラムに面した場所。家の前にトラムがあるのは非常に便利ですが、けっこう夜遅くまで運行しているので振動・騒音がするとの事です。
- 将来、郊外の家からCity近郊に引っ越す可能性。一概には言えませんが、一般的にサバーブの不動産価値の上昇率 Capital Growthは郊外よりCity近郊の方が高い可能性があります。これは5年、10年後に引っ越す事を考えた際、郊外の家を売却しCity近郊に引っ越す場合 非常に多額のお金が必要になる可能性があります。金額に関しては上記 13項でリンクしている私の体験談を参考にしてください。しかし、コロナによって通勤が不要になり「City周辺の不動産価格が下落する」という可能性も否定できませんが。
詰まるところ「良い場所」というのは個人的な感覚になりますが、家の購入後いつまでも「買って良かった」と思える場所だと思います。まずは家の内部の写真は忘れて、自分がその地域に住んだ後を頭の中でシミュレーションして、本当に自分にとって、家族にとって良い場所なのかを検討しましょう。
人口減が進んでいる日本の話なので、参考になるかどうかは分かりませんが、現在日本各地で「限界ニュータウン」というのが存在します。1990年頃バブルによって都市周辺での家の購入はほぼ不可能になり、郊外に新しい「ニュータウン」ができました。今や、それらのニュータウンは見る影もなく、高齢化、過疎化が進んでおり、別名「限界ニュータウン」と呼ばれています。可能ならば、「購入するエリアは長い期間だとどうなるのか?」という事も念頭に置いて購入エリアの調査を進めてください。
実はこの茨木台ニュータウンは私の両親が退職前に購入し一時住んでいました。冬になると積雪でバス停から家まで徒歩は困難でした。また60歳過ぎての急坂は本当に大変です。もう既に超破格値で売却し、別の場所に住んでいます。
次章に続きます。