サバーブのトレンド調査、1~2か月の直近の物件の売買価格モニターが完了したら後はPrivate Sale (For Saleでの購入)もしくはAuctionでの購入です。前回で既に 「売主の気持ち」 を記載していますが、おさらいの為もう一度記載します。
売主の気持ち
狙っていた家が急にAuction前に売れていたり、Offer出しても価格を吊り上げられたりして「なぜ?」「どうして?」と聞かれることが度々あります。はっきり言ってそれは「売主次第」なんです。
- Aution前に急に売れる==>Auction前に販売終了するのは「Serious Bidderが期待できない」場合が多いです。1人のSerious Bidderだけではセリにならないので事前交渉で高く売って販売完了する事があります。
- Offer出しても価格を吊り上げられる==>Agentはプロです。多分貴方と少し話しただけで貴方が「カモネギ」かどうか分かります。「買いたい気持ち」=「もっと吊り上げれる」=「自分のコミッションが上がる」という図式です。
- 「他にOfferがある。BestのOfferを出せないか?」==>本当の時もあるし、カマシの時もあります。状況次第です。Agentに「ある程度」正直に話しをしていると本当の話かどうか見え易いです。
- 「Offerを出しても返事がない」==>Agentはだいたい[Offerをまとめて売主に提示」します。Offer一通づつだと効率がわるいし、なにより「最終的なOfferの比較」ができません。複数のOfferが届いた時点でAgentと売主は(1)offer価格 (2)Subject(条件) (3)Settlementを見て総合的に判断します。もし同価格ならばSubjectが少ない方が優先されるし、慌てて売る場合はSettlement が近い方が選ばれる可能性があります。この時点でOffer価格が同じ場合は「カモネギ」に話を持っていき値段を吊り上げます。
- 「Auction 前の売主の心境」==>Agentは売主に毎週のOpen for Inspectionの進捗、serious bidderがいるかどうかを報告します。通常1週間めが一番見に来る客が多く、最後の方の3か4週間めに2度以上くる客がserious bidderになり、このあたりで「おおよその購入価格」を探ります。この時点でserious bidderがいなければ「事前商談」が始まります。買主も不安ですが売主も不安と思います。
- 「Agentには正直に。しかしAgentは売主、そして自分の為に働く」 ==>これを勘違いする方がいますがAgentはあくまでも売主、自分自身の為に働きます。間違っても貴方の為に働いてくれる、とは思ってはいけません。また彼らは多数の物件を扱っているので「ひとつの物件にだらだらと時間を取る事」を嫌います。特に「予算をコロコロ変えて伝える」というのは避けた方が良いと思います。ある程度の信頼関係ができれば「この値段で売りそうだ」という事を教えてくれる場合があります。このあたりは結局「人と人との付き合い方」になります。
Auctionのジレンマ
Private SalesはAgentとの直接交渉なので、購入の可否が分かり易いのですが、難しいのが「Auction」での購入です。
例えば11月1日に物件AのAuction,そしてもう一つのお気に入りの物件BのAuctionが翌週の11月8日にあるとします。このAも良いけどBが理想に近いという場合にジレンマに陥ります。何故ならばBを買いたいという気持ちがあるので、AのAuctionは早々と退散したとします。そして迎えた理想の物件BのAuction。「買える保証はありません」。運悪くBのAuctionが接戦となり敗退したとします。結果A、Bどちらも購入できず、また一からやり直しとなる場合があり、非常に疲れます。「ああ、Aを買っとけば良かった」と。
かと言ってAのAuction には参戦せず、BのAuctionのみに注力しても 「買える保証はありません」。逆にAの物件を力を入れて購入した後に、「やはりBが良かった」となる場合もあるかもしれません。Auction の日程順番は購入者にとっては変えようがないので、結局は「どこかで腹を括る」しかありません。
Auctionより更に難しいSET SALE。見えない敵と戦う
個人的に一番苦手としているのがPrivate Salesのやり方のひとつのSET SALE。もしかしたら他州では別の言い方をしてるかもしれませんが、要は「xx月xx日 xx:00時までに貴方のBestなOfferを提出してください。一番高くOfferした人が購入できます」といういわば入札のような感じです。日本での入札は入札箱に入札額を入れて終わりですが、SET SALESは時間が決まっている、また競争相手が見えないAuctionのようなものです。
Agentはプロです。誰が本当にSeriousなのか、予算はどこまでストレッチできるのかを期日までに調べ上げ、同時に売主からもいくら以上の売却を承認するかを確認しています。
そしてSET SALEの当日。朝からoffer金額を複数のPotential buyerから集め、誰が本当にSerious buyerかを見極めます。勝負はCLOSE前の1時間ほど前から、Agentから何度も「競争相手がいる」という事で電話で煽りが入ります。「あなたに絶対売りたい」等も言ってきます。これがAuction ならば実際の現場で指を上げているCompetitorが見れるのですが、SET SALEは「本当に競争相手がいるのかどうかもわかりません」。実は「買った後も本当に競争相手がいたのかも教えてくれない」ので真相は本当に闇の中。本当に買いたい気持ちがあれば最後の30分であっという間にもの凄い金額が上昇します。
Private Salesでも「他にも買いたい人がいる」と言われ価格をあおられる似たような状況はありますが、SET SALEの場合は「時間が決まっている」のでものすごく焦り、冷静さを失います。
一番苦手です。。。。
名義について
2人で作成する銀行口座などは[Joint Account」というので、カップルで購入する家の名義もつい「Joint Title」って言ってしまいそうですが、実は違います。家の名義(Title)に関してはTenants-in-common そしてJoint tenants という2つの登録方法があります。この内容はEstate Planning、死亡した場合の準備に関係します。
Joint tenants とは
こちらは一般的な方法で、カップルで登録する場合の名義比率が50/50%となり、どちらか一方が死亡した場合、家の権利は生存している人名義に自動的に移ります。通常Joint Tenantsは結婚している夫婦、事実婚のカップルが主に使用します。夫婦、事実婚で不動産などを購入する場合、Solicitorに特に指定しない限り、通常は「Joint Tenants」で不動産のタイトルなどは登録されます。
Tenants-in-common とは?
複数の人(2人以上)がタイトルを分割して保持します。2人の場合でも1人は1%、もう一人は99%というような配分も可能です。 Joint tenants と違い、一方が死亡した場合、保有分は他の保有者に自動的には移らず、死亡した方のWILLによって名義が変更になります。Tenants-in-commonは以下のような場合に良く用いられます。
- 成人した子供が再婚する場合。
- 物件購入時の出資額に差がある方、または
- 投資家が共同で不動産を購入する場合
Estate Planning の詳細確認については居住している地域のSolicitor, Barrister に確認ください。(州によって法律が違う場合があります)
< 以下参考サイト情報 >
Subject (条件)
Contractの基本テンプレートには通常Subject to financial approvalの一文はあると思いますが、念のため、ローンで不動産を購入される方は必ず Subject to financial approval の一文はContract で明記・確認を忘れないようにしてください。他のSubjectで一般的なのは以下になります。
- Subject to building / structure inspection (構造の検査)
- Subject to termite inspection (シロアリの検査)
売主の立場から見ると、買い主のSubject が多ければ多いほど、競争となった時に不利になる場合があります。例えばPrivate Salesの場合、ある時期に複数の購入者からOfferを受け取り、そのうちの一人を選んだとします。仮にその一人がSubject to bank approvalに2週間必要となると、「早急に契約が締結できない。2週間後に買主が銀行審査に落ちた場合、またMarketing(営業活動)をしないといけない。2週間前に競合した他のOfferの人はもう別な家を買っているかもしれない」という展開もあり得ます。売り手側からみれば「販売機会の損失」になります。
その為、もし同額のOfferがあった場合、一方がUnconditional offer、もう一方はSubject to xxの場合はUnconditionalのofferが優先されると思います。
勿論、購入する側として必要なSubjectは必ず明記すべきと思いますが、売り手側の考えを理解しておくのも必要と思います。なおAuctionにはSubjectはありません。
良い家はすぐ無くなります
これは非常に当たり前ですが、「良い家はすぐに売却」されます。「後でよく考えよう」などと思って3~4週間後に行ったら、もうないものと思っていた方が良いでしょう。(焦って購入すべきという事ではありません)
その為、①サバーブの地価トレンドを理解している ②1~2か月十分該当地域の売買価格をモニターして実際の相場価格を把握している ③周辺環境を把握している ④アメニティ・学校の確認している ⑤構造的に問題無いこと 等が全て理解・確認されていれば、あとは交渉、即断即決が必要になります。
Auction物件のMarketing(OFI:Open For Inspection)も通常4週間で終了です。すなわち広告の準備してOFIを開始したら4週間後にはAuction は完了しています。
時々「もの凄く長い期間販売している家」を見かけます。私見ですが以下の状況ではないかと推測しています。
- 「売主が市場を理解しておらず」、非常に高い値段を設定する。==>Agentは最終的には売主の意向を尊重。よって誰も買わない。
- 「長く広告を出しておけば高くで売れる」と売主が勘違いしている場合がある。==>Agentは最終的には売主の意向を尊重。よって誰も買わない。
- 売主側も次に買う家が見つかっていないのであまり積極的に販売できず「中途半端な状態」が続いている。
家を購入する際に可能であるならば「売主の売る理由」などをAgentから聞き出せれば、購入戦略が立てられるかもしれません。
Townhouse / Aprtmentの場合はBody Corp Feeを必ず確認する事。
Unitでも一つの区画に2軒までならBody Corpは不要ですが(VIC州の場合)、3軒以上の場合はBody Corpが必要となり、場合によっては Body Corp feeは非常に高額になります。特にエレベーター付きの高層アパートは定期的にワイヤー交換をしなくてはならず、もの凄く高額な場合もありますので必ず確認する事をお勧めいたします。投資不動産として購入した場合Body Corp FeeはTax Deductibleですが、その費用があれば他のエリアのUnit / Houseが購入できる場合もあります。よく精査してください。
Agentの口車には乗らない。しかし実勢価格を無視したofferはしない。
Agentにはある程度正直に仲良く接するのが一番です。しかし彼らは「自分と売主の為に働いている」ので適切な距離を保つのも必要です。
最後に
このサイトはできる限り私見を抑えて記載していますが、この章は私の経験を書いた方が皆様のお役に立つと思い、主に過去の経験からの情報(VIC州)を記載しています。
家の購入はオーストラリアに於いて大きなイベントのうちの一つです。しかし、あまりにも「高すぎる理想を持ちすぎると購入機会の損失」になります。オーストラリアでは家は一生に一回の買い物ではありません。初めての家が理想に届かなくても「次」で理想に近づける事は可能です。
家はある程度は「自分で改築」も可能です。BunningsなどのDIY店で講習もやっているし、機材のレンタルも可能です。また「改築に掛かる費用=投資額」となって自宅の評価額もあがり、無駄なお金にはならず、将来良い値段で売れる可能性もあります。もし見つけた家が良いエリアにあり、古いが構造がしっかりしており、他より安い家があった場合(Unrenovated house)、「自分で修理しながら住む」という選択もあります。実は個人的にはこの方法が一番ベストと思っています。