スーパーってなんだ!?
正直に言うと私も40歳前まではスーパーの事は全く気にしていませんでした。何故かというと
- 会社が自動的に貯金(Super Guarantee) しているので「自分のお金」という認識が無かった。
- スーパーのお金は定年後にしかお金は下ろせない。(よって興味がない)
- 投資をいろいろ組み合わせする事が出来るそうだが、よく分からない。(よってそのまま)
- 自動的に保険が付いているので「多分なんかあっても大丈夫」と思っていた。(よってそのまま)
今、この記事を読んで上記の一部でも同意している項目があるならば、貴方はラッキーかもしれません。何故なら、今気が付いたという事はこれから変わる事ができる可能性があるからです。スーパーのお金は基本的に定年後にしか下ろせませんが(一部例外あり)、今スーパー、保険を正しいセッティングにすることにより「72の法則」の恩恵を受ける事が出来ると思います。
複利の力は素晴らしいです。
スーパーとペンションと保険
オーストラリアのSuperannuationを「退職年金給付基金」と表現するのが適切かどうかは分かりませんが、以下の記事では暫定的に「スーパー」と表記します。また政府から支給されるのは「老齢年金 : Age Pension]と呼ばれています。Age Pensionの元本は税金で補われていますが、スーパーは基本的に雇用主が給与額を一定割合(FY21/22では10%)をスーパーファンドに直接に振り込むように法律で決まっています(条件あり)。 Small BusinessではBusiness Ownerの判断に委ねられています。簡単に言えば超長期の定期預金のようなものですが「運用」は貴方の判断に任されます。その為、スーパーは銀行というよりは投資ファンドに近い形態と思います。ただし長期に渡るお金を運用しているのでAPRAという政府の期間が厳しく運用を見張っています。スーパーは個人口座なので勿論、自分で追加入金する事 (CC, NCC、SS等) も可能で、その際減税の特典もある場合があります。
3本の柱政策
現在、豪州政府は定年退職者に対して以下の3つの柱の政策 (Three Pillars Policy)を実施しています。
- Age Pension (老齢年金)
- 雇用主に依る強制的な年金積立 (Super Guarantee : SG)
- 個人的な貯蓄の奨励(スーパーの内側、外側)
< 以下参考サイト >
Pension (老齢年金)
最初の柱であるAge Pensionについては、ある一定の年齢 (FY21/22の場合 67歳)になると「個人資産」、「収入」及び「家族構成」等を考慮された支給額が開始されます。2022年2月現在、「最大」で夫婦2人で年間 $37,923、単身者で年間 $ 25,155です。資産額、収入が高いと受給金額が減額されます。この額が多いか少ないかは個人の主観に依りますが、感覚的に「フルにペンションを貰っても贅沢はできない」レベルかと考えます。以下の表の金額は年度により変更する可能性がありますので参考のみとしてください。(下記の表は2週間分の最大受給額です)
Social Securityについてのご相談はCentrelink、もしくはFinacial Adviserにお問い合わせください。
Superanuuation (退職年金給付基金)
そして2本目の柱が雇用主に依る強制的な年金積立 (Super Guarantee : SG)になります。これは雇用主が雇用者のスーパーファンドに給料の一定の割合を積み立てる制度です。給料の一部ではなく、給料の上乗せ分を雇用主がスーパーに貯金してくれているイメージです。スーパーファンドはIndustrial系、Retail系など多数あり、一部を除いて、自分で好きなスーパーファンドを選べ、かつPortfolio / Asset mixも自分で選べます。これはどういう事かと言うと各スーパーファンドはAPRA監視の下,会員(Member)のお金を運用し、利益を捻出します。その投資のスタイルを貴方が選ぶ権利があるという事です。例えばLow RiskのPortfolioのまま10年運用するのと、High Growthで運用するのでは10年、20年後にもの凄い差になります。ここで大事な事は
自分のお金を預けているスーパーファンドの事を良く理解しているか?
例えば日本の銀行のATMを使った際の手数料気になりませんか? 時間外にならないように必死で走った覚えはありませんか? 同じようにスーパーの各ファンドの手数料、Investment feeの計算方法は各ファンドによって全く違い、また同じファンド内でも商品によってInvestment fee、その他が変わります。例えば残高 $200,000 で2社が同じような手数料であっても残高$500,000になると全く違ってくる場合があります。そしてHigh Growthの場合は High Risk の覚悟も必要となります。各社 必ずPDS (Product Disclosure Statement:商品説明)の開示が義務つけられていますので一度参照してはいかがでしょうか?
オーストラリアのスーパーファンドの総資産額は2021年9月30日の時点でAU$3.4 Trillion. 世界第4位の資産を保持しています。(政府広報では総資産額5位となっていました)人口が2600万人だと考えると、オーストラリア人にとってスーパーは大事な資産である事が分かると思います。(Wikipedia)
以下のマーサーのグローバル年金資金ランキング(総合指数)でも4位となっています。
以下はスーパーのお金が退職後にどのように使われていくかのシュミレーションの一例です。あくまでも参考例であり、状況は各個人の資産状況、収入、家族構成で変わります。
年間 $50,000 を生活費に使用する方がいたとします。65歳で定年し、当初2年はスーパーのお金のみで生活。67歳からPension を受給しています。スーパーのお金を生活費に使用する事で貯金(保有資産)が減り、そうなるとPension が増額します(詳細は割愛)。約70歳あたりでフルペンションを受給し、生活費の約半分はスーパーのお金を使用、その他はPensionのお金を使用しています。79歳あたりでスーパーの残高はゼロとなり、その後はPensionのみでの生活となる事を示しています。スーパーの保有額が高ければ高いほど、年間の生活費が低ければ低いほど、このオレンジ部分がもっと伸びて90~100歳まで、ずっと$ 50,000を使用できる生活になり得る場合もあります。逆にスーパーの残高があまり無い方は以下のオレンジ部分がほとんどなく、緑色の部分のみで生活をする事になります。
スーパーは通常一定の年齢になるまで引き出すことはできません。しかし、学生ビザ、ワーキングホリデービザ保持者、企業の駐在員などは、一定の条件を満たす場合、残高から一定の手数料と税金を差し引いた金額を引き出すことができます。
スーパーファンドの見直しについての相談はスーパーファンドに直接、もしくはFinancial Adviserにお問い合わせください。
Insurance (保険)
スーパーに付随する保険についての加入は強制ではありませんが、通常スーパーのDefaultという形で「ある一定額の基本的な保険」が付随しています。日本語で言う「団体生命保険」のようなもので細かいサービスは付随していません。内容は一般的なLIFE (生命保険)、TPD (Total and permanent disability ( 永久障害保険)、IP (Income Protection (所得補償保険)などがあり、これらの保険の補償額も貴方が選べます(制限あり)。 逆に言えば通常のDefault は貴方の状況を考慮していない金額になっている場合があり、例えば多額の住宅ローンを抱えている場合等、補償額の見直しが必要かもしれません。日本では家をローンで購入すると強制的に生命保険、保証人などがありますが豪州では住宅ローンを使用した場合、「Building Insurance:家屋保険」しか要求されないので、もし一家の稼ぎ手に何かあった場合、最悪のケースの場合、家は強制売却になるかと思われます。
スーパーに付随している保険も雇用主が間接的に払っているものだと思い、あまり気にしていない方もいらっしゃる方もいるかと思いますが、保険は基本的に「Possibility (可能性) / Probability (確率)」で掛金が変化します。すなわち「若年=掛金低い、中高年=掛金高い」です。そのため何年も見直していない場合、もの凄い高額になっている場合があります。また掛金の支払い方法には[ Stepped / Level ]という方法があり、これも非常に気をつけなければいけない所で、気が付いたら非常に高額な保険掛金になっており、思ったよりスーパーの残高が増えていない、という事になる可能性があります。
なおTrauma(重病保険)は現在スーパー外の加入になっています。Trauma保険については別の章で説明します、以下にZurich社が発行しているTrauma保険該当リストを貼り付けます。このリスト以外の疾病には「保険はおりない」事になりますが、これらの疾病は「起こる可能性の高い疾病」が通常リストアップされており、また会社によってもリスト疾病には若干差異があります。
保険についての相談は保険会社に直接、Insurance BrokerもしくはFinancial Adviserにお問い合わせください。
< 以下はTrauma保険のカバーされる疾病の一部 >(スペースの関係上 全ては掲載していません)
以上がスーパー、ペンション、保険の基本的な部分になります。以下に詳細を記載しています。