豪州政府は定年退職者が出来るだけ政府補助を受けずに自活できるようにSuperannuation (退職年金給付基金: 以下スーパーと呼称)に対して税金の特例、補助を行いスーパーへの積み立てを奨励しています。
若い人にとっては、スーパーというのはまだまだ先の事のように感じるかも知れませんが、少しでも積み立てる事によって「72の法則」の恩恵を受けてはいかがでしょうか?
複利の力は素晴らしいです。
ところで本題ですが「持ち家があればDownsizer Super Contribution で起死回生(?)が可能です」というのはどういう事でしょうか?
通常、Retirement Age及びご自分で定年退職を宣言するとスーパーはAllocated account ( 多数名称があります。= Allocated pensions = Account-based pension = Income streams account )に変更され、以降のスーパーへの入金は制限されます(条件あり)。そして別の章で説明していますが、スーパーの残高およびAge Pension で定年生活するようになります。おめでたいご長寿の場合、いずれスーパーのお金が枯渇し、Age Pension 支給のみで生活する可能性があります。以下は単純なモデルで説明しています。
年間 $50,000 を生活費に使用する方がいたとします。65歳で定年し、当初2年はスーパーのお金のみで生活。67歳からPension を受給しています。スーパーのお金を生活費に使用する事で貯金(保有資産)が減り、そうなるとPension が増額します(詳細は割愛)。約70歳あたりでフルペンションを受給し、生活費の約半分はスーパーのお金を使用、その他はPensionのお金を使用しています。79歳あたりでスーパーの残高はゼロとなり、その後はPensionのみでの生活となる事を示しています。スーパーの保有額が高ければ高いほど、年間の生活費が低ければ低いほど、このオレンジ部分がもっと伸びて90~100歳まで、ずっと$ 50,000を使用できる生活になり得る場合もあります。逆にスーパーの残高があまり無い方は以下のオレンジ部分がほとんどなく、緑色の部分のみで生活をする事になります。
そこで、このオレンジ部分を「延長」というか、スーパーに「人生最後の追加入金」が出来る制度が「Downsizer Contribution」です。現在 (FY 21/22)の場合、一人最大で$300,000、夫婦で合わせて$600,000入金できるので上記のグラフのオレンジ部分 (スーパー残高)が相当年数伸びます。
Downsizerは簡単に言うと「10年以上居住していた自宅を売却した場合」に適用されます。(諸条件あります)。また少し誤解しそうな名称ですが、この制度はあくまでも自宅売却益のスーパーへの入金ですが、お金に余裕があるならば改めて自己所有の住宅の購入、また[Downsize] せずに郊外の大きな土地付きの家を買っても構いませんが、スーパーへのDownsizer Contribution の入金は現在のルールでは一度しか適用できません。またFY21/22のDownsizer Contributionの適用は65歳以降でしたが、2022年7月1日以降は60歳以降になります。投資住宅の売却益でのDownsizer contribution はできません。
< 以下参考サイト >
ここで大事な事は「スーパーへの入金は自宅売却のSettlement後 90日以内」が原則であり、何か事情があって延長する場合はスーパー会社に延長の許可申請が必要となります。
このDownsizerを行う事により貯蓄額、スーパー残高が増えるため、Age Pensionの受給額に影響する場合があります。また自宅売却後、再び自宅を購入しない場合は将来 PLS(Pension Loans Scheme:自宅を担保に政府からお金を借りる)をする事は出来なくなりますので、自宅の売却に関してはメリットのみならずデメリットも十分検討してください。
< 参考サイト > 記事は若干古いですが分かり易く説明されています。
スーパーに関してのお問い合わせはFinancial Adviserにご相談下さい。